オトコは見た目でしょ?~ゲイ・YOSA-PUエッセイ

#10 僕の1番好きになった人

投稿日:2012年9月25日 更新日:

17才の高校生。
駅のホームでベンチに腰掛け、電車を待っていた学ラン姿の彼に写真のモデルを頼んだ。
朝の8時過ぎくらい。
声を掛けた瞬間に彼は僕の目をまっすぐに見た。
僕が話している間中、その瞳で僕をまっすぐに見ている。
ドキドキした。
ラッシュの時間。
行き交う人の群れ。
その瞬間に恋に落ちた。
初めての写真撮影は新宿で。
レディーボーデンのソフトを舐めてもらい、エロく、カワイく、カッコ良く。
レンズ越しにずっと目が合う僕等。
最初に僕が言った。
『僕のこと好きだと思って。恋人だと思ってカメラを見て。ウソでも何でもいいから、モデルをやっている時間は好きでいて』
「わかりました(笑)」
彼は笑って素直に、純真でキレイな目を向けてくれた。
完璧な少年の瞳だった。
僕の1番欲しい瞳だった。
無邪気な子犬のように表情を振りまき、やんちゃに魅せる彼。
大きな瞳、大きな口、シュッとしているのに柔らかそうなほっぺ。
撮影は一瞬で終わった。
20本用意したフィルムはアッという間になくなってしまい、次また撮らせてもらう約束をして別れた。
でもそれだけだった。
当時、ポケベルしか持っていなかった彼。
そのポケベルに何度入れても連絡が来ることはなかった。
多分、怖くなったんだろう。
気持ち悪かったのかもしれない。
大失恋のようにブルーな僕。
そして1ヶ月過ぎた頃、偶然にも再び駅のホームでベンチに腰掛け、電車を待っている学ラン姿の彼に会った。
目が合った瞬間、彼は“マズい…”といった様子で、僕が話している間中、まったく僕の目を見なかった。
ただ「すみません。。」と言うだけ。
僕は彼と一緒の電車に乗り、“どれだけ君のことが撮りたいか”を説明した。
ラッシュの電車。
込み合う車内。
そして彼が降りる駅。
僕は本当にもうダメかを尋ねた。
すると彼が「…じゃぁ、またポケベルに連絡ください。。」とボソッと言った。
僕は『ありがとう!』と言った。
それからは彼をたくさん撮った。
公園、お風呂、僕の部屋、何気ない道。
夏の風鈴。
最後の学ラン姿。
初雪の街。
彼が就職した箱根の男子寮。
河原。
すごく大きな笑顔。
タバコを吸っている顔と煙。
シャワーで濡れて。
セクシーな目をして。
色っぽく喘いで。
はだけた学ラン姿。
食べている顔。
澄んだ瞳。
僕は彼に何でもしてあげたかった。
僕は彼のすべてを撮りたかった。
僕は彼とキスがしたかった。
でも、高校生の時からずっと彼女がいた彼。
押しに弱い彼。
人に好きになってもらうことが純粋に嬉しい彼。
彼女と喧嘩をして大泣きな夜も頭を撫でて『大丈夫だよ』って言ってあげた。
歌手になりたかった彼の歌はとても輝いていた。
プリクラで彼からキスされそうになった時に動揺して逃げてしまった。
ずっと電話で語り合っていた。
そしてもう我慢できなくなった僕は、彼の全部が欲しくなってどうしようもなくなった。
だから彼を好きなことをやめるしかないと思った。
だって報われないから。
彼はノンケだから。
彼女が妊娠したから。
僕は彼に電話をした。
「こんばんわ~♪」
カワイくテンション高めに出る彼。
『こんばんはw』
「どうしたんですか?」
『…うん、ちょっと話したいことあって。。』
「え? 何を??」
『…あのさ…、多分…、ってか、もう、絶対にわかってると思うんだけどさ、…僕、○○のことが好きぢゃん!』
「え?!」
『いやいやわかってるでしょ! 気持ち悪くてゴメンね!』
「…いや、全然気持ち悪くないですよ!」
『うそ!気持ち悪いって~』
「え、いや、むしろ嬉しいですよ♪」
『は? 嬉しいって…?、ってかね、でも、もう○○のこと好きなの、やめようと思って…、いいよね。。』
「…いや、それは、自分は決められないんで。。」
『そりゃそっか(笑)』
「いや、でも、本当に嬉しいです!」
『え?! だって、気付いてたでしょ??』
「いや、気付いてないです!」
『ホントに??』
「ホントです! そっか、そうだったんですね! 嬉しいです♪」
『え? ぢゃぁ、僕とキスできる??』
「できますよ!」
『ぢゃ、してよ!!』
「…う~ん、、でも、やっぱり、やめときます。。」
『ほら! やっぱり気持ち悪いでしょ?!』
「いや! 全然キスできるし、気持ち悪くないんですけど…、ここでしたらYOSA-PUさんのこと、余計に傷付けちゃうと思うんで。。」
『そっか…、ぢゃ、またね。。』
「はい! 言ってくれてありがとうございます!」
僕は3年間、彼のことが好きだった。
何もかもが彼を中心にまわっていた。
仕事をしている時も、ご飯を食べている時も、友達と遊んでいる時も。
その3年間の全ては彼の為に生きていた。
でも落ち込まなかった。
それが彼の優しさなのか、本心なのか、その時はわからなかったけど、結局、最後は彼に救われたんだと思った。
それから1週間くらいが過ぎて、再び彼に電話をした。
「こんにちわ~♪」
またもやカワイくテンション高めに出る彼w
『あ、こないだは急にゴメンね!』
「いえ! 全然!! YOSA-PUさんに好きになってもらえたなんて、なんか人として認められたみたいで、それってスゴイことぢゃないですか?!」
『…そうなの…?(汗)』
「だって奥さんに言ったら“えー! いいな~!!”って言ってましたもん!」
『え?! 奥さんに言ったの??』
「言いましたよ♪」
『ヤバいぢゃん!(汗)』
「全然ヤバくないですよ! だって自慢したいぢゃないですか♪」
『…そ、そうなんだ…w なんか、ありがとうw』
「こちらこそです♪」
それからは年賀状とタマ~に電話をする関係。
弱っている時にだけ頼ってくる彼を僕は愛しています。
10

【YOSA-PU(よさぷ) プロフィール】
大学時代、写真による創作活動をスタート。
何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。
現在はモノ作りワークを生業にしている。


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YOSA-PU(よさぷ) 大学時代、写真による創作活動をスタート。 何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。 現在はモノ作りワークを生業にしている。

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