オトコは見た目でしょ?~ゲイ・YOSA-PUエッセイ

#11 続・僕の1番好きになった人

投稿日:2012年10月10日 更新日:


PJ_banner

17才の高校生。
駅のホームでベンチに腰掛け、電車を待っていた学ラン姿の彼に写真のモデルを頼んだその時から3年、僕は彼を好きで好きでどうしようもなかった。
そんな彼を好きなことをやめたあの日から何年も経った時、ふと彼が電話を掛けてきた。
彼から電話を掛けて来ることは珍しかった。
「お久しぶりです♪」
テンション高いけど、空元気なことはすぐにわかった。
『どした?』
「え? どうもしないっすよ!」
彼女が妊娠、若くして結婚をした彼は既に2児のパパだった。
『うそだね! なんかあったっしょ?!』
「………。。」
『まぁ、ひとまず今週の日曜日、僕、誕生日なんだけど♪ お祝いしてくれるって話だよね?w』
ノリで言ってみた。
「え?! マジっすか! ぢゃ、どっか行きますか?!」
『え~! マジで??』
「マジですよ! お祝いします♪」
『え~!! ぢゃぁ海がいい~♪』
「わかりました! ぢゃ、海に行きましょう◎ オレの1番好きな海に連れて行きますよ☆」
『やった☆』
言ってみるもんだw
ってことで日曜日、待ち合わせ場所に車で来る彼。
当時は免許なんて持っていない少年だったから、大人になった彼にちょっとドキッとした。
助手席に乗る。
『ってか、奥さん大丈夫だったの?』
奥さんは僕が彼に告白したことを知っている。
「全然大丈夫ですよ! むしろ“それは是非お祝いしてきてあげて”って、はい、プレゼント♪ オレとカミさんからそれぞれ別々にあります◎」
『うっそ! ありがとう~(涙) ってか、なんで奥さんまで?w』
「昨日、2人で買いに行ったんです♪」
奥さんからのプレゼントを開けるとお風呂の入浴剤が入っていた。
『奥さんったらw ねぇ、ダーリン♪ 早くホテル行こうよ~♪ どこのホテルにする? あそこにする~??w』
「いやいやw」
『え~、だって奥さん、ブルーベリーの香りがするバブルバスの入浴剤をくれたんだよ! ホテル行って来いってことぢゃん♪ 泡風呂一緒に入ろうよ~♪♪』
「いやいやいやいやいやいやwww」
『ってか奥さん、よく告白したゲイと出掛けるのを許したよね~』
「え、だってカミさん、昨日、カミさんのお姉さんと2人で、“YOSA-PUさんが告白したのを聞いた時、私、敵わないって思った。なんか男同士って、女には入れない壁がある気がするぢゃん。だから取られるって思ったけど、YOSA-PUさんなら仕方ないなって思った~”って言ってましたよw オレの意思は?! って思ったけどww」
『そっか…、ぢゃ、奥さんの許しも出たし、早くホテル行こう♪』
「行きませんってwww」
僕はあんなに好きだった彼をダーリンと呼び、言いたいことを素直に言えることがこんなにもラクなんだということを初めて知った。
「ちょっと聞きたいんですけど、もしかしてオレのこと、オカズにしてました?」
『は? あたりまえぢゃん! オカズにしまくりだよ~(笑)』
「スゲー! オレ、スゲー!!」
『どんな感動だよ!』
「だって、オレ、オカズだったんですよ! スゴいぢゃないですか?!w」
『そうなの?w』
そんな会話を楽しみながら、彼が1番好きだと言う海に着いた。
海育ちの僕等は、2人で貝を取ったり、語り合ったり、楽しい時間はあっという間に過ぎる。
そして夕方。
まだ春先だから暗くなり始めるのも早い。
「帰りますか?」
僕等は家路につくことにした。
帰り道、僕は切り出した。
『で?』
「え? なんですか?」
『何があったの?』
「…今日はYOSA-PUさんの誕生日だから言いませんw」
『何それ?w いいから言っちゃいなよ♪』
「だって、今日は楽しいだけにするって決めてたんです!」
『関係ないよ! どした? 言いなって!』
「……う~ん…、なんか…、オレ…、もう、わかんなくなっちゃって。。」
彼は重い口を開いた。
話を聞くと、どうやら奥さんが浮気をしたらしい。
しかもただの浮気ではなく、彼の父親と。
彼は父親が大好きだった。
彼は奥さんも大好きだった。
「自分が最も信用していた2人に裏切られた…」
深刻だった。
「もう嫌んなって、本当に死にたくなってたんですよ。。」
彼は以前みたいには泣かなかった。
けど、もう泣いているようにしか見えなかった。
真っ暗な車内で僕はまた頭を撫でてあげた。
『大丈夫だよ。僕、○○にもう恋愛はしていないけど、世界で1番に愛してるから。だから大丈夫だって。世界中の人が○○のことダメだって言っても、僕は絶対に見方だし。だって、愛してるんだから。もし、○○が自殺したら、僕、多分、奥さんのこと殺しちゃうよ。○○とは友達ぢゃないし、だからって知り合いってわけでもない。僕にとってはすっごく大事な人なんだよ。だって、これが愛だから。すごくない? ○○は心底愛されちゃってるんだよ! まぁ、僕に愛されててもどうなの?ってカンジだけどw』
「…いや、マジで最後の砦です。オレ、まわりに誰もいなくなっても、YOSA-PUさんだけはオレを好きでいてくれるって信じてますから」
『それ正解だからw』
「…なんか、オレ、ダメだな~。 今日はYOSA-PUさんの誕生日だから、絶対楽しいだけにするんだって決めてたのに…」
『えー! スッゲー楽しかったし◎w だってね、誕生日に人生で1番好きだった人とドライブして、海でデートできて、僕、めっちゃ幸せぢゃん♪ 普通、ノンケ相手にできないよ~! ホントに今までにない嬉しい誕生日だった☆』
「そう言ってもらえるとオレも嬉しいっすw」
『ってか、もう遅いよね。またいつでも連絡して来なよ! 僕は君を愛してんだからw』
「ありがとうございますw」
僕は“愛”ってこういうものだと思う。
何かが欲しいとか、何かをしてもらったからとか、そういうことは全てなくなっちゃう世界。
愛とは自然で、愛とは意思で、愛とは愛で。
僕の人生には結婚がない。
僕の人生には子供がない。
だからずっと一緒にいて、好きとか嫌いとかではなく、気付いたら愛になっている夫婦や、自分の分身のような子供がいる家庭を羨ましくも思うけど、僕はこういうセクシャルに生まれたわけだし、子供を産んで“本当の愛”がわかるとか、それだけぢゃない愛もたくさんある。
僕は彼に出会って本当に良かった。
僕は彼を好きになって本当に良かった。
僕は彼をオカズにできて本当に良かった。
僕は彼の涙を拭える自分で本当に良かった。
僕は彼に告白をして本当に良かった。
僕は彼の髪に触れることができて本当に良かった。
僕は彼の弱さに触れることができて本当に良かった。
僕は彼の澄んだ瞳に僕が映ることができて本当に良かった。
僕が1番好きになった人が彼で本当に良かった。
世界は愛で溢れていると。
YOSA-PU
【YOSA-PU(よさぷ) プロフィール】
大学時代、写真による創作活動をスタート。
何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。
現在はモノ作りワークを生業にしている。


PJ_banner

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

yosapu

YOSA-PU(よさぷ) 大学時代、写真による創作活動をスタート。 何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。 現在はモノ作りワークを生業にしている。

おすすめ記事

-オトコは見た目でしょ?~ゲイ・YOSA-PUエッセイ

Copyright© PeachJoy プレス , 2019 All Rights Reserved.