オトコは見た目でしょ?~ゲイ・YOSA-PUエッセイ

#14 続・ダメな男

投稿日:2012年11月25日 更新日:


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加速する僕の気持ち。
止まらないし、止めたくもなかった。
“子供のような気まぐれと、子供のような単純さと、子供のような笑顔”
それは彼の最大の武器であり、最大のネックでもあった。
だって決して“まとも”ではない程のガキっぷりだったから(笑)
そして彼は僕を必要とした。
『オレを捨てないで!』
『オレを褒めて!』
『オレを好きになって!』って。
だから僕は彼を成長させ、まともな青年にしたかった。
“まとも”な彼が欲しかった。
口では僕が喜ぶようなことをたくさん言った。
僕を慕っているように魅せた。
でもその行動・言動すべてが“何の意味もないもの”だと、僕は気付かなかった。
“誠意を持って対応すれば、人は必ず誠意を持って返してくれる”
そう思っていた。。
そんな関係が続いたある日、あの寿退社をした同僚の女子から『結婚式を挙げるから○○ちゃんと一緒に来て♪』と招待状が届いた。
彼が「結婚式当日は家に泊まってください♪」と言ってきた。
なんかイヤな予感がした僕は『本当にいいの?』と聞いたけど、彼は「えー? イヤなの~?! 泊まって! 泊まって!!」と駄々をこねるフリをした。
そして当日。
僕はスーツを着て、お泊まり用の着替えなどが入ったバッグを持ち、彼との待ち合わせの駅へ。
会った彼はすこぶる不機嫌で、とっても意地悪な顔をしていた。
僕が『イヤだったら泊まらないけど?』と言うと、彼は「イヤぢゃないですよ。。」と言った。
それから僕等は殆ど会話をしなかった。
式の最中、自分が何をしたのかもよく解らないし、彼の気持ちも全然解らないし、僕は気持ちがとても張りつめていて、結婚式どころではなかった。
そして披露宴。
まだ殆ど会話をしない僕等。
前方のスクリーンに彼と彼女の思い出写真がSweetboxのEverything's Gonna Be Alrightにのせて流れ始めた。
ハッとした僕とイヤな顔をした彼。
この曲は彼が僕に『すごく安らかな気持ちになるから好きなんだ』と言った思い出の曲だった。
そして映し出される僕等3人の楽しそうに笑う写真。
僕は気持ちが張り裂けそうで涙ぐんでいた。
“いったいなんなんだろう…”
やるせない気持ちだった。
披露宴が終わり、二次会の前にコインロッカーに入れた荷物を持って彼の家に行く予定だった。
一緒に行く駅までの道。
ひと言も話さない僕等。
コインロッカーから荷物を出し、『イヤだったら帰るけど?』と言うと、「イヤぢゃないですよ…」と彼。
本当はここでやめとけば良かったんだけど、僕は彼のことが好き過ぎたから、そのまま彼の家へ行くことに。
彼の家の最寄り駅に付いた途端、彼は僕のことなどお構いなしにスタスタと自分の家へ向かって歩き出した。
荷物をたくさん持っていた僕は彼の20mくらい後ろを歩いて、気持ちは最悪だった。
駅から彼の家まで半分くらい歩いたところで急に彼が振り返り、僕の方へ歩いて来た。
僕が“何だろう?”と思って彼を見ていると、目の前まで来た彼はとってもイヤな顔をしてひと言「ウザいんだけど!」と言い、また自分の家の方へスタスタ歩いて行った。
僕は呆然として『何それー?!』と言ったけど、彼は振り返りもしなかった。
それから僕は駅へ引き返し、ホームのベンチに座り、荷物を降ろすと、自然に涙が溢れ出した。
いつも彼の望むことをしてきたつもりだった。
彼の嫌がることはすべて取り除いてきたつもりだった。
彼の笑顔と彼の「ウザいんだけど!」の顔がアタマを巡り、周りの人が“どうしたの?”とビックリするくらいに僕は泣いた。
30分くらい経って落ち着いた頃、ふと“二次会、断んないと…”と思い、彼女に電話をした。
電話に出た彼女の声を聞いた途端、僕はまた泣き出してしまった。
彼女の声が優し過ぎて、何だかとってもやるせなかった。
二次会参加を断る僕の声が可笑しいことに気付いた彼女は「どこにいるの? 今から行くから!」と僕の元へ駆けつけてくれた。
この日の主役を僕の失恋ごときで呼び出してしまうなんて大失態だと思ったけど、彼女に会った途端、彼女に肩を抱かれ泣き崩れてしまった。
『僕のことウザいんだって…』
僕はそれしか言えなかった。
そんな僕に彼女も彼女の旦那様も優しかった。
僕は優しい人達に囲まれていることをこの時に実感した。
次の月曜日の朝。
僕は会社へ行く為に歯を磨いていたけど、母親と話をしていたら無性に泣けてきたから、会社をズル休みした。
そして火曜日、会社へ行った。
顔を合わせてもお互いに無視する僕等。
最初の内は悲しい気持ちでいっぱいだったけれど、“コレでいいんだ…”と思うようにした。
それから2ヶ月、僕等は口をきかなかったけれど、業務で必要なことがあり、僕が普通にそれを彼に笑顔で伝えると、彼は次の休憩時間からすぐに笑顔で話しかけてきた。
そしてその夜は電話も掛けてきて、また僕にかまって欲しいようだったけど、僕は上辺で対応した。
多分、彼は上辺で気持ちの良い言葉しか求めていないし、僕も同じことを繰り返す程、もう落ちることはできなかった。
そして1年後、僕が夏の終わりに会社を辞める話を聞くと、彼は1ヶ月後に会社を辞め、僕等の関係は終わった。
僕が今、彼のドコがそんなに好きだったのか、思い出そうにも思い出せない。
カワイイ笑顔。
サラサラの髪。
夜中のマッサージ。
“おはよ”のキス。
多分、それだけだったんだと思う。
結局、それしかなかったんだと。
想いが通じない人はたくさんいる。
人の好意がわからない人もたくさんいる。
人の気持ちを無視する人もたくさんいる。
ダメな男を好きになる時期は誰しも1回くらいはあるもんだと思う。
だけどそれで気付かされることもたくさんある。
だからそれはそれで良しとする。
ただ2度は繰り返せないと思った。
だって、人は人だし、人として生きている人でなければ、その人を好きになる自分が可哀想すぎる。
だから僕はただ“人として”だと思う。
14

【YOSA-PU(よさぷ) プロフィール】
大学時代、写真による創作活動をスタート。
何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。
現在はモノ作りワークを生業にしている。

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YOSA-PU(よさぷ) 大学時代、写真による創作活動をスタート。 何故かオトコ以外は撮りたくならず、自分がゲイであることを認識。 現在はモノ作りワークを生業にしている。

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